携帯機器の高機能化・小形化はICチップの劇的な形状の進化や多層配線基板技術などの進展が原動力となり、いまだとどまる気配がない。タンタル固体電解コンデンサのチップ化を進めたころは、実装基板上ではきわめて低背部品の優等生であった。ICがBGA/CSPタイプへ変貌し、背の高いアルミ電解コンデンサが排除され、セラミックコンデンサや抵抗チップが0603,1005サイズとなって、いまやタンタル固体電解コンデンサは実装基板上でそのサイズが突出した存在となりつつある。

   タンタル固体電解コンデンサの小形化は、3216サイズ(L3.2×W1.6×H1.6mm)から薄形の3216Lサイズ(L3.2×W1.6×H1.1mm)へ、そして2012サイズ(L2.0×W1.25×H1.1mm)へと高CVタンタルパウダーの開発を行うことで達成してきた。(図1)
 したがって、形状的には大きな変化は無く、むしろ規格化されたパッケージの枠の中にいかに高容量を封じ込めるかの開発を推進してきた。

 
 
 
   弊社では、モールド形「F92」の2012サイズ(Pケース)に業界トップクラスの6.3V−10μFを収納し、超小形のニーズに対応してきた。また、業界で最も体積効率の優れた構造の樹脂外装形「F95」をラインナップし、機器の小形化に寄与してきたと自負している。さらにモールド形の組立加工精度を上げ「F92」の超小形品1608サイズ(Jケース)の量産を開始し、携帯機器の小形化・高機能化への夢をますます広げている。「F92」Jケースは従来のフレーム構造ながら、組立加工精度の向上により高密度実装に対応できる製品として6.3V−4.7μFを収納。「F93」と同様Pbフリー化対応としており、クリーンで信頼性の高い設計としている。従来の4.7μF定格を用いた回路に適用することで確実にダウンサイジングが可能である。

 
 
 
 しかし、半導体部品の小形化に合わせ、配線基板のファインパターン化が進み、実装部品間距離が縮まっており、はんだ付け時のわずかなズレでも隣接する部品の電極接触によるショート不良の発生が懸念され、現状の部品形状では更なる高密度実装が困難となってきている。

 このような背景から、「F92」Jケースの寸法精度をさらに高めたものと、「F95」の高体積効率のメリットを融合させ、電極を下面のみに構成して、小形で高容量かつ高精度な、まさに高密度実装に最適な"1608サイズのCSPタンタル固体電解コンデンサMケース"(以下1608CSPタンタルと称す)を開発した。同品は、図4に示すようにフレームレス構造の為、素子の体積を大きくとることができるので、2012サイズ(Pケース)相当の6.3V−10μFを収納できる。組立各材料は、従来から弊社で実績のあるもの、もしくは半導体業界で標準的に使用されているものから選択した。すなわち、外形寸法を縮小しても収納容量はPケース並が確保でき、なおかつ実績のある材料で高信頼性を得ることをベースに開発したものである。また、組立工法に半導体製造技術を導入し、さらに廃棄材料を極力削減した設計としたので、高効率生産を可能とした。

   1608CSPタンタルMケースの仕様を図5に紹介する。
 外形寸法は±50μmの精度をクリアし、高密度実装に充分対応できる仕様、規格を確保したうえ、電極を外装下面にのみ配置した構造とすることで実装部品間距離の短縮に対応した。収納定格は2012サイズ(Pケース)と同等の6.3V−10μFをメインにラインナップ展開しながら、高体積効率により対Pケースとの体積比で60%小形化、部品間距離短縮については従来の1/2を実現している。仮にPケースで実装部品間距離を0.4mmとおいたとき、部品体積の縮小と実装部品間距離短縮の相乗効果で単純計算でスペース効率は3倍程度向上する。
 

 一方、近年特に注目される環境問題に対し、弊社では「F93」、「F92」などPbフリー化した製品を生産してきたが、1608CSPタンタルMケースもこれらと同様Pbフリー化した、Snめっき・Sn系Pbフリーはんだなどを電極に用い、環境に配慮したうえ、充分なはんだ濡れ性や実装時のセルフアライメント性などを確保できるものとしている。

 1608CSPタンタルMケースは既存のタンタル固体電解コンデンサの技術に半導体組立技術を融合させ、高精度/高体積効率を確保することで、21世紀の高密度実装に対応し、機器の小形・高性能化に貢献できる製品として注目されている。

 引き続き、高CVタンタルパウダーの開発/さらなる体積効率の改良による収納容量の拡大に取り組むとともに、周波数特性をはじめとする各種電気的特性の向上にも取り組んでいる。また2012サイズなど、サイズバリエーションの拡大も進めている。
     
 
2000年12月8日  電波新聞掲載
 

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