チップ形タンタル電解コンデンサの最新技術動向
リードフレーム構造から高体積効率パッケージ品への移行
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チップ形タンタル固体電解コンデンサ

 コンデンサの需要は景気の回復や機器の高速/高性能化に伴い増加傾向にある。その牽引投となっているのが、携帯電話、ノートパソコンなどのIT関連機器や、プラズマディスプレイ、液晶TV、DVDプレーヤ−/レコーダなどのデジタル家電分野、カーナビゲーションシステムなどのカーエレクトロニクス分野の伸長である。
 これらの電子・電気機器は、小形・薄形・高性能化が進展しており、搭載される電子部品も小形・薄形・高性能化が強く求められている。コンデンサはあらゆる電子・電気回路に欠かすことのできない部品であり、用途に応じてアルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、積層セラミックコンデンサ(以下MLCCと称する)等が使い分けられ、それぞれ熾烈な開発競争を繰り広げている。
 アルミ電解コンデンサは小形大容量である特長を生かし、チップ化が進むとともに小形・低背化、低ESR・長寿命・高温度保証化が進んでいる。またMLCCは、誘電体の薄層化と積層数アップにより小形大容量化が進むと共に0402サイズといった超小形チップの量産が始まっている。
 タンタル電解コンデンサは、単位体積当たりの容量が他のコンデンサよりも大きいこと、周囲温度や印加電圧の変動に対する静電容量値の安定性に優れていることから、モバイル機器等のIT関連機器に広く採用されている。アルミ電解コンデンサ、MLCCと比較し、同一サイズ内に収納できる静電容量が大きい特長を更に活かし収納容量の拡大が積極的に進められている。
 タンタル電解コンデンサの最小サイズは2012サイズから1608サイズ、1005サイズと小形化が進み、超小形・大容量品を実現し、MLCCと差別化が図られている。またタンタル電解コンデンサは他のコンデンサでは得られない安定した電気特性を有しており小形化・薄形化・大容量化と合わせ注目度が増している。
 従来タンタル電解コンデンサの大容量化はタンタル粉末の微粉化技術の進展により高CVタンタルパウダーを活用することで対応してきた。1990年代前半では、タンタルパウダーの主流は30kCVであったが、年々高CVパウダーが開発され、21世紀に入り150kCV以上の高CVタンタルパウダーが使用されている。(図1)

図1. 3216(A case) 6.3V品 コンデンサ別 容量値推移
図1.3216(A case) 6.3V品 コンデンサ別 容量値推移

  パッケージに収納される素子体積はリードフレームを用いた汎用樹脂モールド品(図2)では、ほぼ限界まで拡大し、高CVタンタルパウダーの使用でコンデンサの収納容量拡大を進めてきた。
  一方、更なる収納容量拡大を目指し、近年リードフレームを使用しない構造のコンデンサに注目が集まっている。リードフレームがパッケージ内に存在しないため、コンデンサ素子の大形化が可能となり、製品の小形、薄形、大容量化が可能となる。またコンデンサ素子から直接電極を引き出す構造により、ESR/ESL特性面でも優れた周波数特性を有している。当社はリードフレームを使用しないタンタル電解コンデンサを シリーズと称し、異なる2つの構造品(図3)を量産している。

図2.汎用樹脂モールド品 図3.
図2.汎用樹脂モールド品 図3.フレームレス品 樹脂外装形F95 モールド形F98
フレームレス…樹脂外装形「F95」
 樹脂外装形「F95」はリードフレームを用いない独自の構造で、その歴史の中で順次進化をとげてきた。携帯電話の小形・薄形・高性能化が加速的に進み、使用されるコンデンサの薄形化への要求が高まっている。またICチップを始めとする回路部品の高さも 1.2mm → 1mm → 0.8mm と移行し、タンタル電解コンデンサの部品高さが使用される部品のなかで一番高い部品になりつつある。
 樹脂外装形「F95」はその構造メリットを活かした薄形設計で標準モールドタイプと差別化を図るとともに体積当たり世界最大の収納容量を具現化している。
 樹脂外装形「F95」は汎用品の2012サイズ「高さ1.2mm Max」,3216サイズ「高さ1.6mm Max」,3528サイズ「高さ1.7mm Max」に加え、3216サイズで「高さ0.8mm品」,3528サイズで「高さ1.0mm品」の薄形大容量品を新たにラインナップし顧客のニーズに対応している(図4)。
 例えば、従来3216サイズ で47F/6.3Vは「高さ 1.6mm Max」であったが、高CVタンタルパウダーの適用と更なる幅広い改善により「高さ0.8mmの薄形品」としている。3528サイズの100F/6.3V品では「高さ1.7mm Max」 から「高さ1.0mmの薄形品」としている。
 一方、市場ニーズの多様化にともない床面積のダウンサイズ要求も依然として多い。そういった要求に応えるために例えば100F/6.3V品は3528サイズから3216サイズへと約50%小形化した製品をラインナップしている。

図4. 3216/3528サイズ モールド品(F93)と 樹脂外装薄形品(F95)比較

4 6.3 10 16

F93 F95 F93 F95 F93 F95 F93 F95
22



A
(A) Q
47

A Q B T

100 A (Q) B T



220 B (T)






(mm)
TYPE CS L W H
F95 Q 3.2 1.6 0.8
A 3.2 1.7 1.3
T 3.4 2.7 1.0
B 3.3 2.7 1.7
F93 A 3.2 1.6 1.6
B 3.5 2.8 1.9

フレームレス… 樹脂モールド形「F98」
 樹脂モールド形「F98」は高い体積効率と高密度実装対応を両立した下面電極タイプである。 構造による高体積効率の実現とフィレットレスによる高密度実装に対応しており、機器の小形化、高機能化に寄与している。
  F98Mケース(1608サイズ)は、 構造によりコンデンサ素子の体積を大きくとり、リードフレーム構造の汎用樹脂モールド形 F92Pケース(2012サイズ)と同等の電気特性を維持しながら同容量を収納し、小形・大容量を実現している。例えば6.3V定格で 22Fといった大容量を実現している。
 F98Mケースの薄形品であるXケースは1608サイズでありながら、高さを0.5mmとすることで1005サイズのMLCCと同等の部品高さとすることで大容量タンタル電解コンデンサの搭載を可能とした。例えば6.3V定格で10Fといった大容量を実現しておりカメラモジュールなど高さ制限の厳しい用途を中心に採用されている。
  高密度実装技術の進展により基板にL,C,R部品を埋め込むエンベデッドパッシブ技術が注目されているが、エンベデッドにまで至らずとも電子機器の薄形化が加速するなか、薄形・大容量コンデンサの要求が強まることは必至であり、薄形タンタル電解コンデンサは、今後の業界をリードするキーパーツになる可能性が高いと考える。
  この要求に対応すべく1005サイズの開発が進められており 4.7F/4V、2.2F/6.3Vといった大容量品を同サイズに収納することにより更なる小形/大容量に向けた取り組みと2012サイズ/高さ0.8mm F98Sケースの開発も進めている。
  陰極引出し層形成条件の最適化及び工程管理条件の見直し等を行い、総合的な素子形成技術と1608サイズで培った組立技術を集約させ、2012サイズ「高さ0.8mm Max」で47F/6.3Vや33F/10V定格品の量産を予定している。
  F98Sケースは2012サイズのMLCC(高さ1.2mm、最大収納容量22F/6.3V) に対し低背・大容量といったアドバンテージを持っており、今後のコンデンサ業界をリードしていく商品と考える。
 下面電極タイプは各社製造方法や内部構造が異なっており、それぞれ体積効率、材料コスト、設備投資等でメリット、デメリットがあり、今後いかに容量、特性、価格で特色を出せるかが、課題である。
汎用樹脂モールド品
 リードフレーム構造の汎用樹脂モールド品はチップタンタル電解コンデンサの中心として取り扱われ、高い品質信頼性を利点として依然市場ニーズは高い。
  主流サイズは欧米では携帯電話向けを除いて6032サイズ以上の大サイズであるが、日本、アジアではモバイル機器向けが多いことから3528以下の小サイズが中心となっている。
  アジア圏でのトレンドは3528/3216サイズから2012 → 1608サイズへのダウンサイジングである。現在急速に小形化が進められており、コンデンサメーカーは容量を確保しつつ床面積の小形化あるいは薄形化を進めている。今後は更に生産工程の合理化、使用材料のコストダウン等を進めることで製造コストを下げる事が必要となる。またコンデンサ間で熾烈な競争が繰り広げられており、業界の再編も進みつつある。
技術展望
 タンタル粉末の微粉化技術が更に進化し200kCVを超す超高CVタンタルパウダーの出現が待たれている。その超高CVタンタルパウダーを如何に使いこなすかが課題である。従来の製造技術にとらわれない新しい製造方法の確立や、更なる小形・薄形・大容量化を追求していく必要がある。
 またニオブ材料もタンタル材料と同等の特性を引き出せる技術が確立しつつあるが、現時点材料供給、価格、特性面でそのメリットを十分生かし切っていないのが現状である。
  今後タンタル電解コンデンサは、 樹脂外装品および下面電極品といった独自の構造と組立技術を駆使し、高CVタンタルパウダーの適用と合わせ次世代の商品を創出すべく開発が進められている。
 一方、RoHS指令にあわせ各社が環境負荷物質の使用を廃止する動きが活発化している。当社は他社に先駆けPbフリー化を完了し、外装エポキシ樹脂もハロゲンフリー化に取り組んでおり、今後も地球環境に優しい商品づくりを推進していく所存である。

ニチコンタンタル株式会社
技術部 技術課 井川祐一
2004年7月1日付 電波新聞掲載
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